源泉徴収票で学生が見る4つの数字と、支払金額から先の読み方
本記事は国税庁の公表資料と条文に基づく一般的な情報の整理であり、個別の税務相談ではありません。個別のご質問にはお答えしていません。ご自身の判断の前に税務署または税理士にご確認ください。
1月になると、バイト先から小さい紙が来ます。「給与所得の源泉徴収票」です。欄はたくさんありますが、学生が見る数字は、上のほうに並ぶ4つだけです。何がどこから来た数字で、空欄のときは何を意味するのかを、令和8年分の国税庁の手引で確かめました。
交付の期限は決まっている
所得税法226条1項は、給与の支払者に対して、こう書いています。
……その年において支払の確定した給与等について、その給与等の支払を受ける者の各人別に源泉徴収票二通を作成し、その年の翌年一月三十一日まで(年の中途において退職した居住者については、その退職の日以後一月以内)に、一通を税務署長に提出し、他の一通を給与等の支払を受ける者に交付しなければならない。
2通作って、1通は税務署、1通は本人。年の途中で辞めた場合は、辞めた日から1か月以内です。3月まで、待つ必要はありません。本人が承諾すれば紙の代わりに電磁的方法で受け取ることもでき、その場合も本人が請求すれば紙で交付されます(同条4項)。
見る数字は4つ
国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」の「各欄の記載要領」から、4つの欄の中身を引きます。手引は、令和8年8月1日現在の法令に基づいて作られたものです。
| 欄 | 手引が書いている中身 |
|---|---|
| ④ 支払金額 | 「令和8年中に支払の確定した給与等……の総額」。中途就職者について、就職前に他の支払者が支払った給与等を通算して年末調整を行った場合は、その金額も含む |
| ⑤ 給与所得控除後の金額(調整控除後) | 「令和8年分年末調整のしかた」の「令和8年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」によって求めた金額。年末調整をした受給者のみ |
| ⑥ 所得控除の額の合計額 | 給与所得控除後の金額から控除した、社会保険料控除・勤労学生控除・扶養控除・基礎控除などの合計額。年末調整をした受給者のみ |
| ⑦ 源泉徴収税額 | 年末調整をした給与等なら、年末調整をした後の所得税及び復興特別所得税の合計額。年末調整をしない給与等なら、その年中に源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の合計額 |
④で数えるのは「支払の確定した」金額で、働いた月は基準になりません。12月に働いて1月に振り込まれる分は、翌年の紙に載ります。
⑤と⑥が空欄なら、年末調整をしていない
手引が⑤と⑥に「年末調整をした受給者のみ」と付けているとおり、この2つは、年末調整をしていない人の紙では空欄になります。学生がここに当たるのは、だいたい次のどれかです。
- 掛け持ちしていて、そのバイト先が従たる給与の側だった
- 年の途中で辞めて、12月にそのバイト先から給与を受け取っていない
- 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」をその勤務先に出していない
このとき数字が入っているのは、④と⑦だけです。⑦に金額が入っていて⑤⑥が空欄なら、その税は年末調整で精算されていません。1年分の税額との差を精算する手続きは、確定申告です。逆に⑦が0円なら、そのバイト先での1年分の源泉徴収税額は0円です。年末調整をした紙では、年の途中で引かれた分が12月に全額戻って0円になっている場合もあります。
④支払金額から先の計算は、引くのが74万円になった
2026年(令和8年)分と2027年(令和9年)分は、給与所得控除の最低保障額が65万円から74万円に上がりました(国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」 p.1 ⑵)。2028年(令和10年)分以後の最低保障額は69万円です(同)。給与だけの人の合計所得は、支払金額が74万1,000円以上219万1,000円未満なら、支払金額 − 74万円です(74万円以下なら0)。
2026・2027年分は、収入金額が69万1,000円以上220万円未満のところに、別の表があります(あらまし p.1 ⑵ハ)。
| 支払金額 | その給与に係る給与所得の金額 |
|---|---|
| 69万1,000円以上 74万1,000円未満 | なし(0円) |
| 74万1,000円以上 219万1,000円未満 | その収入金額 − 74万円 |
| 219万1,000円以上 219万3,000円未満 | 145万1,000円 |
| 219万3,000円以上 219万6,000円未満 | 145万3,000円 |
| 219万6,000円以上 220万円未満 | 145万6,000円 |
学生の多くはまん中の行に当たるので、支払金額から74万円を引けば合計所得です。その数字が親の扶養(62万円以下)の中にあるか、特定親族特別控除の9段階のどこに入るかは、学生の「年収の壁」2026年分の計算ページに支払金額をそのまま入れると出ます。壁の語の一覧はこちら、年末調整で親に聞かれたときの2種類の申告書はこちらです。
紙が複数枚あるときは、④を全部足してから74万円を引きます。1枚ずつ引くと控除が重複します。
紙の行き先が2027年から変わる(勤務先の側の話)
手引には、勤務先向けの改正が書かれています。
令和9年1月1日以降、市区町村に給与支払報告書を提出した場合には、税務署に給与所得の源泉徴収票を提出したものとみなされるため(源泉徴収票のみなし提出の特例)、令和8年分以降は税務署提出用の給与所得の源泉徴収票を作成・提出する必要がなくなります。
変わるのは税務署へ出す分で、本人に交付する分は226条1項のままです。もう1つ、地方税法317条の6第3項のただし書は、年の途中で辞めた人について、「その給与の支払を受けなくなつた日の属する年に当該給与の支払をする者から支払を受けた給与の金額の総額が三十万円以下である者については、この限りでない」として、市区町村への給与支払報告書の提出を省略できることにしています。短期のバイトを辞めた分は、市区町村がその給与を把握していない場合があります。
私は自分の分を、④だけ足した数字で、いちど計算ページに入れてみるつもりです。紙が来るのは1月ですが、金額そのものは12月の給与明細まででほぼ確定します。
出典(いずれも2026年9月16日に原典を開いて確認)
- 所得税法(昭和40年法律第33号)226条1項・4項 e-Gov https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
- 国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」(令和8年8月1日現在の法令に基づく)「各欄の記載要領」④〜⑦、源泉徴収票のみなし提出の特例 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/tebiki2026/index.htm(PDF一括 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/tebiki2026/PDF/all.pdf)
- 国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」PDF p.1 ⑵イ・ハ https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/2026kaisei.pdf
- 地方税法(昭和25年法律第226号)317条の6第1項・3項 e-Gov https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226
PR・8年版 源泉徴収税額表とその見方(岡本勝秀編、日本法令、2026年6月23日頃発売)
楽天アフィリエイト(もしもアフィリエイト経由)を利用しています。本の内容の評価や推薦ではありません。
本記事は2026年9月16日に原典を開いて確認した公表情報(令和8年度税制改正まで反映)に基づきます。税務相談は税務署の相談窓口または税理士へ(税理士法2条・52条により、他人の求めに応じて税額の計算などの相談に応じることを業として行えるのは、無償の場合も、税理士と税理士法人に限られます)。詳細は免責事項をご覧ください。