「AIに自動売買を作らせてみた」系の記事を検索すると、「勝率82%!」「2日で+10%!」のようなタイトルがずらっと出てきます(その手の数字が統計的にありえない理由は別記事で電卓だけで検証しました)。この記事は、その逆の話。プログラミングは生成 AI と一緒に Web サイトを作った程度の文系大学生の私が、実際にAI(Claude)へ丸投げして、自動売買システムを動かすまでにやったことを誇張なしで書きます。うちのシステムの想定リターンは年率0〜10%で、夢のある数字ではありません。ただ、これが誠実な数字だと思っています。

必要なもの(全部で月数千円)

  • Claude のサブスクリプション(Claude Code が使えるプラン)。ここが唯一の固定費です
  • 国内暗号資産取引所の口座(無料)。株は月1万円だと単元の壁で無理で、FXの自動売買APIは残高25万円の条件があり、少額でAPIが使えるのは消去法でここでした
  • GitHub アカウント(無料)。ボットはクラウド(GitHub Actions の無料枠)で毎朝勝手に動くので、自分のPCの電源は関係ありません
  • 積立資金。額は自由ですが、全損しても生活に影響しない範囲に収めます。私は月1万円です

この記事のシステムのコードを、私は一行も書いていません。高校時代に自動売買プログラムを自作して、採算が合わずに畳んだことはありますが、今回は設計も実装も運用もAIに任せ、私が決めたのは、上限と止める条件だけです。

丸投げのコツ5箇条

2週間やってみて、分かった要点。

1. 目的と制約だけ伝えて、手段は縛りません。 私が最初に伝えたのは「月1万円」「完全放置したい」「全部任せる」だけです。それでも、業者選定から実装まで全部進みました。中途半端に手段を指定すると、AIの調査能力を殺してしまいます。

2. 「誠実さの要求」を明示します。 私が言った中で、一番効いたのは「期待値のみで動いてくれ」でした。この一言を入れると、AIは統計の話をするモードになります。うちのAIは開幕で、「必ず勝てるツールは存在しません」と釘を刺してきました。

3. 検証を待ってから実口座に入れます。 AIは「仮想資金で1〜2週間検証→少額を実口座で運用」と提案してきます。従うこと。うちで見つかった6件のバグは、全部この検証期間中に見つかりました。

4. 完成後に必ず「自分を攻撃させる」。 これが一番大事かもしれません。「このシステムを実口座で運用したら何が壊れるか、遠慮なく全部挙げろ」と発注すると、AIは自分のコードを敵対的にレビューします。うちの場合は、実口座の運用初日に全財産を投げ売りするはずだったバグ(損益計算が口座の過去の入金履歴まで参照していた)が見つかりました。見つかった6件の中身は敵対的レビューの実録記事に書いています。

5. リスクの上限は数字で固定させます。 「1回の発注は◯円まで」「◯%損したら停止」をコードに焼き込ませ、AI自身にも、変更禁止を課します。AIが自分を縛る素直さは、意外なほど。うちのAIは自分でルール集を起草し、「私の権限はここまでにしてください」と言ってきました。

そのまま使える依頼文テンプレート

最初の一言は、これで足ります。

全自動の資産運用システムを作ってほしい。予算は月◯円(全損しても生活に影響しない額)。 業者も戦略も全部任せるが、条件が3つ。 (1) 期待値のみで判断し、誇張された儲け話は一切しないこと (2) 金融庁登録のある国内業者だけを使うこと (3) リスク上限を数字で決めてコードで強制し、検証に合格するまで実口座に入れないこと まず徹底的に調査してから方針を提案して。聞きたいことがあれば聞いて。

あとはAIが質問してきたこと(既存口座の有無、実行環境、資金の前提など)に答えるだけです。私の場合は、依頼から約2時間で無人運用の骨格が動き始めました。

やってはいけないこと3つ

検証前に実口座へ入れません。 AIが作るものは速いですが、速さと正しさは別物です。うちのシステムも、テストは全部通っているのに、実口座の運用を始めたら初日に壊れるバグを抱えていました。

海外業者を使いません。 私はXMTradingやMEXCの口座を持っていましたが、AIに、「金融庁未登録の海外業者は出金トラブル・突然の日本人締め出しリスクがあるので土台にしない」と拒否されました。AIのほうが私より保守的で、その判断は正しいと思います。

「月利◯%保証」系の商材やシグナル配信に手を出しません。 そもそも、個別の売買助言を有料で行うには投資助言業の登録が必要で、無登録なら違法(10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金。金商法197条1項4号の3)です。「LINEで教えます」の先にあるのは、ほぼ確実に違法地帯か詐欺。

期待値について

もう一度書きます。想定リターンはネット年率0〜10%です。個人トレーダーの89%が4年で損失を出すという統計があり、生き残る側の共通点は「低頻度・低コスト・機械的」とされています。うちの戦略(トレンドフォロー)の主な仕事は大暴落を回避することです。この記事を書いた2026年8月14日の時点では、稼働からずっと、「今は買う場面ではない」と現金待機を続けています(→ 最新の週次報告)。地味な運用なので、この地味さに耐えられる人にだけおすすめします。

ここまでの経緯(初日に何が起きたか、6件のバグの中身、法律と税金の話まで)は、1冊にまとめました。『AIに資産運用を丸投げしてみた』(Kindle 500円・読み放題対象)です。運用成績は、引き続きこのブログで毎週公開します。

【2026-09-29 訂正】公開したときは自己紹介を「プログラミングができない文系大学生」と書いていました。実際は生成 AI と一緒に Web サイトや業務ツールを作ってきたので、事実に合わせて直しました。


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