本記事は厚生労働省・国税庁・日本年金機構の公表資料に基づく一般的な情報の整理であり、個別の税務・社会保険の相談ではありません。個別のご質問にはお答えしていません。ご自身の判断の前に、税務署または税理士、ご加入の健康保険にご確認ください。

厚生労働省が2026年9月3日に公表した令和8年度地域別最低賃金の答申状況では、全国加重平均が1,177円(前年度1,121円)になりました。47都道府県すべてで引上げ、幅は54円から65円。発効日は10月1日から12月2日まで県ごとに違い、答申公示後の異議申出の状況で変わる可能性があると、別紙に注記があります。

時給が上がると、同じ年収の線に届くまでの労働時間は短くなります。バイトのシフトを変えていなくても、年の後半に線へ近づく速さは変わります。この記事では、学生に関係する4本の線を週あたりの時間に直し、47都道府県の表にしました。計算は割り算だけで、元の数字は厚生労働省・国税庁・日本年金機構の原典から取りました。

4本の線と、それぞれの原典

130万円、136万円、150万円、178万円。判定する制度は別々です。

線 何の線か 判定の仕方 原典
130万円未満 親の健康保険の被扶養者になれる年間収入 認定日以降1年間の見込み。給与なら月額108,333円以下 日本年金機構
150万円未満 19歳以上23歳未満の被扶養者の年間収入 扶養認定日が2025年10月1日以降。年齢は認定日の属する年の12月31日時点 日本年金機構
136万円以下 親の税の扶養(合計所得62万円)の、給与だけの場合の収入 2026年1月から12月に支払われた給与の合計 国税庁
178万円以下 本人に所得税がかからない収入(基礎控除104万円+給与所得控除74万円) 同上 国税庁

130万円と150万円は日本年金機構の手続きのページに、「年間収入130万円未満」「給与所得等の収入がある場合、月額108,333円以下」と書かれています。年間収入として見るのは、認定された日以降の見込み額です。19歳以上23歳未満は、同機構のお知らせで、扶養認定日が令和7年10月1日以降なら150万円未満に変わりました。

136万円と178万円は、国税庁の「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」にあります。p.2の表が、扶養親族の所得要件を「62万円以下(給与だけなら136万円以下)」としています。178万円は、p.1の表の基礎控除104万円(令和8・9年分、合計所得336万円以下)と、同じページの給与所得控除の最低保障74万円を、私が足した数字です。178万円までは、課税される所得が0円。

全国平均の時給なら、130万円は週21.2時間

下の表は、時給で割った週あたりの労働時間です。1年を52週とし、0.1時間未満は切り捨てています。130万円と150万円は「未満」の線なので、表の時間より少しでも短くなければなりません。

時給 130万円 136万円 150万円 178万円
宮崎県 2025年度 1,023円(前年の最低額) 24.4時間 25.5時間 28.1時間 33.4時間
宮崎県 2026年度 1,085円(今年度の最低額) 23.0時間 24.1時間 26.5時間 31.5時間
全国加重平均 2025年度 1,121円 22.3時間 23.3時間 25.7時間 30.5時間
全国加重平均 2026年度 1,177円 21.2時間 22.2時間 24.5時間 29.0時間
東京都 2025年度 1,226円(前年の最高額) 20.3時間 21.3時間 23.5時間 27.9時間
東京都 2026年度 1,280円(今年度の最高額) 19.5時間 20.4時間 22.5時間 26.7時間

全国加重平均は、地域別の額を労働者数で重みづけした数字で、実際にその時給を払う場所はありません。目安としての並べ方です。

東京都の行では、130万円に届く週の時間が20.3時間から19.5時間に縮みました。週20時間を働くと、最低賃金のままでも1年(52週)で1,331,200円になり、130万円を超えます。同じ週20時間でも、宮崎県なら1,128,400円、全国加重平均なら1,224,080円で、130万円の手前。時給が同じ1,085円の宮崎県で週23時間働けば、1,085円×23時間×52週=1,297,660円で、130万円にぎりぎり届きません。

47都道府県の表

2026年度の額と前年度の額、発効日は、厚生労働省の別紙「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」の値です。右の3列は、その額で1年間働いたときに各線へ届く週あたりの時間(単位は時間)です。

都道府県 2026年度 前年度 発効日(予定) 130万円未満 150万円未満 178万円以下
北海道 1,131円 1,075円 10月1日 22.1 25.5 30.2
青森 1,090円 1,029円 10月29日 22.9 26.4 31.4
岩手 1,090円 1,031円 12月1日 22.9 26.4 31.4
宮城 1,098円 1,038円 10月1日 22.7 26.2 31.1
秋田 1,090円 1,031円 10月14日 22.9 26.4 31.4
山形 1,092円 1,032円 10月30日 22.8 26.4 31.3
福島 1,094円 1,033円 10月16日 22.8 26.3 31.2
茨城 1,136円 1,074円 10月18日 22.0 25.3 30.1
栃木 1,125円 1,068円 10月1日 22.2 25.6 30.4
群馬 1,120円 1,063円 10月3日 22.3 25.7 30.5
埼玉 1,196円 1,141円 10月1日 20.9 24.1 28.6
千葉 1,195円 1,140円 10月1日 20.9 24.1 28.6
東京 1,280円 1,226円 10月1日 19.5 22.5 26.7
神奈川 1,279円 1,225円 10月1日 19.5 22.5 26.7
新潟 1,108円 1,050円 10月1日 22.5 26.0 30.8
富山 1,119円 1,062円 10月1日 22.3 25.7 30.5
石川 1,113円 1,054円 10月3日 22.4 25.9 30.7
福井 1,112円 1,053円 10月4日 22.4 25.9 30.7
山梨 1,113円 1,052円 11月1日 22.4 25.9 30.7
長野 1,117円 1,061円 10月2日 22.3 25.8 30.6
岐阜 1,121円 1,065円 10月1日 22.3 25.7 30.5
静岡 1,154円 1,097円 10月15日 21.6 24.9 29.6
愛知 1,195円 1,140円 10月1日 20.9 24.1 28.6
三重 1,143円 1,087円 10月1日 21.8 25.2 29.9
滋賀 1,136円 1,080円 10月3日 22.0 25.3 30.1
京都 1,180円 1,122円 11月16日 21.1 24.4 29.0
大阪 1,231円 1,177円 10月1日 20.3 23.4 27.8
兵庫 1,172円 1,116円 10月1日 21.3 24.6 29.2
奈良 1,107円 1,051円 10月4日 22.5 26.0 30.9
和歌山 1,101円 1,045円 10月3日 22.7 26.1 31.0
鳥取 1,090円 1,030円 10月3日 22.9 26.4 31.4
島根 1,092円 1,033円 10月10日 22.8 26.4 31.3
岡山 1,104円 1,047円 10月2日 22.6 26.1 31.0
広島 1,141円 1,085円 10月11日 21.9 25.2 30.0
山口 1,101円 1,043円 10月8日 22.7 26.1 31.0
徳島 1,103円 1,046円 11月1日 22.6 26.1 31.0
香川 1,092円 1,036円 10月1日 22.8 26.4 31.3
愛媛 1,093円 1,033円 11月1日 22.8 26.3 31.3
高知 1,086円 1,023円 10月29日 23.0 26.5 31.5
福岡 1,114円 1,057円 10月4日 22.4 25.8 30.7
佐賀 1,095円 1,030円 11月15日 22.8 26.3 31.2
長崎 1,087円 1,031円 11月2日 22.9 26.5 31.4
熊本 1,092円 1,034円 12月1日 22.8 26.4 31.3
大分 1,096円 1,035円 11月1日 22.8 26.3 31.2
宮崎 1,085円 1,023円 10月24日 23.0 26.5 31.5
鹿児島 1,090円 1,026円 10月25日 22.9 26.4 31.4
沖縄 1,086円 1,023円 12月2日 23.0 26.5 31.5

発効日は2026年10月10日に確認した別紙の予定日です。10月1日の県が多く、最も遅いのは沖縄県の12月2日。県別の推移は都道府県ごとの最低賃金 一覧と推移に置いてあります。

表の読み方で気をつけること

1つめは、発効日をまたぐ年の数え方。税の線(136万円・178万円)は1月から12月に支払われた額で見るので、10月に最低賃金が上がる県では、年の前半は前年度の額で働いた分が入ります。表は1年間ずっと2026年度の額で働いた場合の時間なので、税の線については目安にとどまる数字。健康保険の線(130万円・150万円)は認定日以降1年の見込みで見るため、いまから先の時給で数えるのが近い読み方。

2つめは、足していないもの。計算に入れたのは時給と時間だけで、賞与、通勤手当、掛け持ち先の収入は入っていません。130万円の判定で何が収入に含まれるのかは、ご加入の健康保険の窓口に確かめてください。税の側では、136万円を超えるとあらまし p.2の表の「扶養親族」の行を外れ、「特定親族」の行(136万円超197万円以下)に入ります。学生の場合の2つの表を同じ年収で並べた計算ページは、学生の「年収の壁」2026年分です。

3つめは、1年を52週と置いた前提。祝日の休みやテスト期間の休みがあれば、実際の年間の時間は短くなります。冬休みと春休みに集中して働く人は、月ごとの額で見たほうが実情に合います。

示したのは、時給が上がると同じ壁までの時間が縮むという割り算の結果です。働く時間を減らすか増やすかは、扱っていません。


出典(いずれも2026年10月10日確認)

厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金答申状況」(2026年9月3日・全47都道府県の額、前年度の額、発効日(予定)) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75950.html 別紙PDF https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001745621.pdf

国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」PDF(基礎控除104万円・給与所得控除の最低保障74万円・扶養親族の所得要件62万円=給与だけなら136万円) https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/2026kaisei.pdf

国税庁 タックスアンサー No.1410「給与所得控除」(令和8年分・令和9年分の給与所得控除額) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm

日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」(更新日2026年9月30日・年間収入130万円未満・月額108,333円以下) https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20141202.html

日本年金機構「19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります」(2025年8月19日・150万円未満) https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2025/202508/0819.html


本記事は2026年10月10日時点の公表情報に基づきます。税務相談は税務署の相談窓口または税理士へ(税理士法2条・52条により、他人の求めに応じて税額の計算などの相談に応じることを業として行えるのは、無償の場合も、税理士と税理士法人に限られます)。詳細は免責事項をご覧ください。